過去の帝国の砦
© TTstudio/ Shutterstock
ワインをたしなみ、波乗りを楽しむ場所としての地位が確立された今、過去のポルトガルが世界中に領土を保持する軍国主義帝国だったとは想像しづらいかもしれません。しかし、この岩 (正確には、ポルトガルで産出するリオス石灰岩) が全国的に使用されていることが、過去の歴史を証明しています。ベレンの塔を例に取りましょう。この塔は、(近くに建つジェロニモス修道院と同様に) 16 世紀初頭のポルトガルで一般的だったマヌエル様式建築の重要な例です。マヌエル様式には、当時新たに見出された世界的な海軍国家としての地位が表現される傾向がありました。つまり、世界中の文化からさまざまなモチーフを取り入れ、華やかなゴシック風様式としてまとめあげたのです。その後ポルトガルは、スペイン、フランス、オランダなどの国家と何世紀にもわたって戦争を続けましたが、その期間を通じてベレンの塔は重要な要塞であり続け、今もリスボンへの玄関口となる港を見張るように建っています。